副題:“職人ビジネスマン”のすすめ
著者:久恒 啓一 出版社:青春出版社 2003年11月刊 \1,470(税込) 205P
「できる人」がブームになっていて、「○○勉強法」という書籍もたくさんでています。
本書は、そのひとつとおもいきや、
「本がすすめる勉強法を実践して
実際の仕事に生かせるかどうかは疑問」
と著者は言います。
本を読む、という机上の勉強では不十分で、現場に足を運び地下水脈を掘り当てるのが「できる人」の仕事の進め方である、というのです。
実例として、著者自身が日本航空のサラリーマン時代に実践した経験を挙げます。
様々なエピソードに裏打ちされた提言の数々が読者に刺激を与え、読み終わった時には「できる人」のスタート台に立っている自分を発見するでしょう。
と、褒め称えておけばブックレビューとしては無難なのですが……。
ご注意ください!
一般人がこの本一冊を読んだだけで簡単に「できる人」になれると思ってはいけません。
なにしろ著者は既に「できる人」になっているので、「できない人」へのアドバイスとしてはハードルが高いのです。
例えば、日本航空の社長自らトップに立った「サービス委員会」の事務局を著者が担当した時のこと。著者はサービスに関する本約20冊に目を通しました。「ザッと要点を押さえるための情報インプットがどうしても必要と感じたのです」と、さり気なく書いていますが、この間、わずか1週間。
一般人には1週間で20冊の本に目を通すだけでも大変ですが、著者は苦もなくやってみせ、「こんなもの勉強のうちに入らない」と言わんばかりです。
まるで、
「私の健康法のモットーは“ムリをしない”ことです。
毎日、ほんの20Km走るだけで良いのですよ」
と言っているようなもの。
良い子は真似をしてはいけないのです。
ただし「形から入る」タイプの人は、「できる」人が愛用しているモノを使ってみるという手もあります。本書によれば、著者は「プレスマン」というマスコミ関係者用に開発された0.9ミリのシャープペンや、「タイムシステム」というシステム手帳を持った人を見ると、「できるな」と親しみを持つらしいです。
私は2つとも見たこともありませんので何とも言えませんが、これが「できる人」の形のようですから、試してみてはいかがでしょうか。