『笑っていいとも』や『行列のできる法律相談所』に出演している橋下弁護士の講演会に参加してきました。
弁護士とはいえ、もうお笑いタレントの仲間入りを果たした人ですので、参加者を笑わせてどんどん盛り上げます。少し笑い疲れたあたりで真面目な話題も折り込む構成で、満足の1時間半でしたよ。
『行列のできる法律相談所』では、4人の弁護士の意見が一致することはほとんどありません。何か事前にシナリオでも作っているのではないか、と思われることもあるそうですが、そういう段取りは一切していないそうです。
意見がきれいに割れるのは、
北村弁護士と住田弁護士の価値観が近く、
橋下弁護士と丸山弁護士の価値観が似ている
というのが原因だとか。
たとえば、「もうすぐ妻と離婚する」と不倫相手を待たせていた男から突然別れ話を切り出されたというケース。慰謝料を取れるか取れないか、という問いに北村弁護士と住田弁護士は「取れない」と答えます。二人は「不倫は絶対悪」という倫理観と信念の持ち主で、不倫という悪いことの片棒を担いでいた人が慰謝料請求なんかできない、と考えます。
かたや橋下弁護士と丸山弁護士は「不倫は相対悪。相手の配偶者には申し訳ない違法行為だが、相手との間の恋愛関係は尊重されるべき」という考えです。ですから、慰謝料は取れる、と答えます。
番組が成功したのは、こういうふうに意見が対立する弁護士をうまく配置したから、とのことでした。
自分のポジションをしっかり分析しているのですね。
講演会をピリッと締めたのが2009年5月から始まる「裁判員制度」の話です。
裁判所が計画しているのは、死刑や無期懲役を争うような裁判に一般人を参画させることです。残虐な殺人の現場写真を見せられたり、強姦の詳細な内容を聞かせられるのは、プロの弁護士でも嫌なものだそうです。また、死刑の判決を下した裁判官も、何日も被告の顔が頭から離れないほど悩まされるそうです。
それを素人に強いるというのは、この制度を失敗させてやめさせようという最高裁の意図があるからではないか。そうでなければ、最初は小さな事件の審理から参画するようにすべきではないのか。
それでも、もし裁判員に選ばれてしまったら、自分の生きてきた経験から出てきた直感で判断するしかない。というのが、橋下弁護士の主張でした。
笑って、感心して、考えさせられて、最後にまた笑わせてくれた講演会でした。