2005年11月刊 著者:パオロ・マッツァリーノ 出版社:二見書房 \1,500(税込) 317P
怪しい自称イタリア人が書いた社会学をネタにしたお笑い講座の第2弾。(前作は2004年11月15日のブログ参照)
今回も笑わせてくれますよー。
ちょっと前の衆議院選挙で学歴詐称が話題になりましたが、本書の著者は「私の経歴の卒業大学は実在しませんから、学歴詐称にはなりません」と、宣言しています。
さっそくアヤシイ。
どうも社会学だけではネタが尽きたのか、今回は歴史、経済、国語学などの分野にも論陣を張っています。
国語学の分野で笑かしてくれるのが、「くよくよのラーメン」。
味にこだわるラーメン、というのをよく目にしますが、昔は「こだわる」というのは悪い意味で使ったもので、新明解国語辞典にも「他人から見ればどうでもいいと考えられることにとらわれて気にし続ける」というふうに載っています。
一方、昔も今も悪い意味で使われている「くよくよ」も、同じような意味(他の人が気にしないことを、いつまでも気にする)ですから、「こだわりのラーメン」があるなら、「くよくよのラーメン」があってもいいじゃないか、という主張です。
単に国語辞典を参照するだけでなく、経済産業省の『商業統計表』を持ち出してラーメン店の栄枯盛衰を分析してくれたりしてますから、統計で議論する訓練にもなりますよ。(ウソ)
前著でも強調していましたが、著者はスーペーさんが大嫌いです。スーペーさんというのは、昔は犯罪も社会不安も今より少なかったという間違った認識をもとに、現代の世の乱れを嘆く「スーパーペシミスト=超悲観主義者」のことです。
著者は「人間いいかげん史観」を提唱しており、人間は昔からいいかげんだったのだから、そんなに悲観することはない、と言っています。
著者のお言葉を引用しておきましょう。
為政者や英雄の偉大さばかりを教えるのは、お前ら庶民の子孫などは
取るに足らない存在なのだから偉い人に黙って従えという、いけすか
ない教育法です。昔も今も人間はずっと変わらずいいかげんでダメな
存在だ、何百年も前からフリーターも居候も破産者もいたけど、みん
なそれなりに頑張って生きてきたのだ、百姓や長屋に住んでた連中こ
そが、日本の歴史を支えてきたのだ、と教えれば、こどもたちは昔の
人や歴史に親しみを持ち、庶民であることを誇りに思うようになるの
です。
ちょっと皮肉っぽくなる副作用がありますが、ストレス解消に最適です。
一服どうぞ。