ぶたのたね


1990年4月刊  著者:佐々木 マキ  出版社:絵本館  \1,260(税込)  27P


ISBN:4871101126


いつも大人の本ばかり紹介していますが、今日は3〜4歳向けの絵本を取り上げます。


足の遅いおおかみが主人公です。
どれくらい足が遅いかというと、ぶたよりも遅い。
だから、まだ一度もぶたを食べたことがありません。
なんとかぶたを食べてみたいと、おおかみはきつねはかせに相談しました。
きつねはかせは、「ぶたのたね」をくれました。
さっそくぶたのたねを植えて育てたところ、
木の枝にたくさんのぶたが実りました。
ところが……


本書は、静岡市で書店スタッフをしているpata-ponさんのブログで見かけて手に取りました。(pata-ponさんのブログに載っていたのは続編の『また ぶたのたね』だったのですが、まず最初の『ぶたのたね』から)
4歳の娘に読んであげたところ、ちょっとトホホなおおかみさんが気に入ったようです。pata-ponさん、ありがとうございました。


実は、この本を娘に読んであげるとき、ちょっとした心配がありました。おおかみが可愛いぶたを「食べたい」という部分をどう受け止めるのかな、ということです。
まあ、おおげさに言うと、娘が「かわいい動物を食べることの罪悪感」に目覚めたりしたら、どう言えばいいのか……、ということです。
というのも、私自身が長いこと牛肉を食べられなかったからです。
私の実家は酪農をしていましたから、物心ついた時には、目の前にかわいい子牛たちがいました。一生懸命育てている牛の肉を食べる気にはなれず、生まれてはじめて牛肉を食べたのは高校一年生になってからです。
また、『なごり雪』で有名な歌手のイルカさんに『いつか冷たい雨が』という曲があり、その中に、
   「鳥や豚やお魚も 人間のためにあるのよ
    さあ、残さずに食べなさい」
   そんなふうに言うお母さんにはなりたくありません。
という歌詞があります。
どこかで読みましたが、イルカさんは本当の菜食主義者で、肉や魚は口にしないそうです。


親としては、娘に動物タンパクをしっかりとってもらいたいので、あまりイルカさんのように深刻に考えずにいてもらいたいものです。といって、一度もそういうことを考えないままで大人になってもらいたくない、とも思っています。


ともかく、4歳の娘には無用な心配のようでした。
その時がきたら、その時考えよう!