人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?


2005年11月刊  著者:門倉 貴史  出版社:角川oneテーマ21  \720(税込)  198P


人にいえない仕事はなぜ儲かるのか? 角川oneテーマ21


「人にいえない仕事」という言葉で連想するのは何でしょう。やはり(非合法な)裏社会ビジネスでしょうか。
ピンポーン!
著者は「地下経済」を専門に研究しており、関連書籍も多数出版しているそうです。「地下経済」というと、なにやら青木雄二の『ナニワ金融道』のようなオドロオドロした世界を連想しますが、本書の著者は「アンダーグラウンドエコノミー」と呼んでいて、あくまで経済活動のひとつとして分析しています。


ただし、本書では本格的な「地下経済」の話題は少ししかなく、身近に転がっていそうな「サラリーマンの副業」や「野球選手や芸能人の節税」などのしくみを解説しています。
「人にいえないこと」というのは、本書の場合、「税務署に言えないこと」とほぼ同じ意味です。一部、「法律に反する」仕事も出てきますが、そういう仕事で儲けたお金が税務署に申告されることは100%ありませんので、やはり本書の中心の話題は「税務署に言えないこと」と言えるでしょう。


日本の財政は火の車ですから、もうすぐ大増税時代がやってくることは間違いありません。自己防衛する意味で、私たちが税の基本を知り、「節税」することは大切です。著者は、そのための知識を授けようとしています。
例えば、サラリーマンの副業での稼ぎを会社にバレないようにするには、どうしたら良いでしょう。(答えは第3章に書かれています)
いまの日本は、個人収入が多い人ほど税率が高くなる“累進課税”方式です。課税所得金額が330万円、900万円、1800万円を境に税率が上がりますから、境界近辺の方はよくお勉強しましょう。ただし、あまり度を越えた「節税」が税務署の目につくと「脱税」と見なされてしまいますので、お金持ちの方はご注意ください。


本書には、いわゆる「クロヨン」と呼ばれる不公平な税徴収を正すべきことを主張したり、「消費税」ならぬ「支出税」を提唱したりもしています。
けっこう“まじめな”本です。
お試しあれ。