蒼穹の昴〈3〉


2004年10月刊  著者:浅田 次郎  出版社:講談社文庫  \620(税込)  372P


蒼穹の昴(3) (講談社文庫)


清朝末期時代を描いた歴史小説の第3巻。
第11代光緒帝が即位しても西太后は政治の実権を手放しません。西太后に引退を迫る「変法」勢力と、西太后が引退すると失脚してしまう守旧派が勢力争いを展開していますが、その間に、列強諸国による中国の植民地化が一段と進みます。英国から香港の割譲を迫られた清朝廷は、李鴻章を全権大使に任命し、なんとか「99年租借」で決着をつけました。
主人公の文秀《ウェンシウ》は「変法」勢力の中心人物となり、もうひとりの主人公の春児《チュンル》は西太后の側近の宦官として、敵対する政治勢力に身を置くことになります。


宦官となった春児には、もう守るべき家族がありません。寂しさを埋め合わせるように孤児院を経済的に支援したり同僚の借金返済に力を貸したりしますが、次第に皆から慕われるようになりました。
老いた宦官から「神様ってのは、こういうもんだ」と抱きしめられ、イエズス会の司教から「春児は、主イエスの現し身です。デウスがこの貧しい国の民のためにお遣わしになった、天の使徒ですよ」と賛嘆されます。
第2巻で昴の宿星など無かったことが明かされた春児でしたが、星の力を借りずに宦官の頂点に登りつめる日がいよいよやってきました。


文秀と同じ年に科挙の試験に合格した二人の友人にも、重要な役回りが回ってきます。
一人は光緒帝の伯父が死ぬときに「西太后を殺せ」という命令を受けました。
もう一人は、乾隆帝の霊から「真の龍玉を守護せよ」という使命を与えられます。


いよいよ第4巻は清朝末期の動乱に突入します。
この物語の壮大な伏線である「真の龍玉」とは何なのか、主人公たちがどのような運命をたどるのか。


あー、早く第4巻が読みたい!