池上彰の お父さんが読んで聞かせる楽しいおはなし


2005年9月刊  著者:池上 彰  出版社:主婦の友社  \1,470(税込)  159P


池上彰の お父さんが読んで聞かせる楽しいおはなし


仕事で忙しいお父さんも、せめて子どもには本を読んであげましょう。そのためのガイドブックとしてお役立て下さい、という趣旨で書かれた本です。


4編の童話を選び、軽い息つぎ、ふつうの息つぎなどを薄い水色で書いてあります。
おじいさんマーク・おばあさんマーク、感情を示すマークのほか、子どもには難しい語句の解説もうれしいです。
ちょっと変わったところでは、Sを裏返しにしたようなマークが行末に書いてある個所があります。これは、文章が長いので行を変えるけれど、行が変わったからといってそこで「間」をとらないでそのまま読み下してください、という意味。さすが、NHK「週間こどもニュース」の元キャスターだけあって、NHKニュースの放送用原稿の手法を導入して読みやすくしているのです。


収録してあるのは、『かさこじぞう』、『ごんぎつね』、『注文の多い料理店』、『手品師』の4編です。はじめの3編は有名な童話ですが、『手品師』というのは聞いたことがありません。なんと、フランス文学者で『ジャン・クリストフ』の翻訳などで有名な豊島与志雄氏が書いた作品でした。豊島与志雄が童話を書いていたなんて、ちょっと意外です。


今は、CD付き絵本も売ってますから、「何も自分が読んであげなくてもいいんじゃないの?」という父親もいるでしょう。そんな人に向かって、著者は次のように言っています。

子どもにとってかけがえのない親であるあなたが、自分の肉声で読んで聞かせることに意味があるのです。たとえつっかえつっかえでも構いません。あなた自身が声に出して読むことが大切なのです。ぜひ、ご自身で読んでみてください。


巻末には推薦ブックリストも載っていますが、4歳の私の娘には少し難しそうな本が並んでいました。どうも、小学生低学年向きのリストのようです。


仕事で忙しいお父さんにお薦めです。ご一読あれ。