すごい会議


副題:短期間で会社が劇的に変わる!
2005年6月刊  著者:大橋 禅太郎  出版社:大和書房  \1,470(税込)  112+48P


すごい会議?短期間で会社が劇的に変わる!


本書は、大きく二つのパートと付録に分かれます。
ひとつ目のパートは、著者がシリコンバレーベンチャー企業を経営したときの成功物語。
著者は「ガズーバ」という会社を起業し、投資家から10億もの金を集めた後、アメリカの企業家が目標とする会社売却を果たしました。アメリカ人なら、そのまま若くしてハッピーリタイヤするところですが、著者は日本に帰ってきてから自身の成功体験を広めようとコンサルタントをはじめました。
本書のもう一つのパートは、その成功体験の中核である「すごい会議」の秘訣を明かしたものです。


この「すごい会議」の元になったのは、「ガズーバ」を経営しているときにハワードというマネジメントコーチから受けたアドバイスの数々です。
何も考えずに会議を進めると、会議時間の95%がコメントの交換に終わる、と著者は指摘します。何にも決まらないのにダラダラ続く「会議」にイラついている方は、「そうだ!」と叫びたくなると思いますが、自分が会議を進める立場に立つと、どうしていいか分かりません。
「この会議の終わった後にどんな成果を期待しているか?」「自分の意見を紙に書いてから発表する」など、本書には会議を活性化させる役に立つアイデア満載です。
いつものことですが、私の書評ブログはネタばらしをしない方針ですので(ゴメンナサイ)、「すごい会議」って何? という答えを知りたい方は本書をお読み下さい。付録の「すごい会議のやり方」は、会議活性化のテンプレートになっていますので、実用的です。


さて、「会議の目的を明らかにする」というのは、よく聞くアドバイスです。本書の内容から離れますが、以前読んだ本に書いてあった究極の会議の目的を思い出したので、最後に紹介させていただきます。
ジョン・K・ガルブレイスは『不確実性の時代』の中で、レーニンロシア革命前に頻繁に同志と会合を重ねたことについて、次のような指摘をしています。

><

まじめな会議というものは、情報を交換するために開かれることは少ない。物事を決めるために開かれることはさらに少ない。これらの会議の大部分は、共通の目的を宣言し、出席者に対し、仲間がいることを示して、自信を補強するために開催される。あるいはまた、行動が不可能な場合に、行動計画の机上検討を行なうために開催される。それは、開催されることによって、出席者、さらにしばしば他の者にも、実際には何も起こっていないのに、ないしは起こりえないのに、何かが起こっているような感じを与える効果がある。