一人で20人分の売上! 新人ツルちゃんの接客営業


副題:お客様に「ありがとう」と感謝される幸せな仕事
2005年3月刊  著者:鶴岡 秀子  出版社:ダイヤモンド社   \1,365(税込)  206P


一人で20人分の売上! 新人ツルちゃんの接客営業 お客様に「ありがとう」と感謝される幸せな仕事


婦人服の店頭販売員として新人配属されたツルちゃん(著者)が、一年間でグングン成長する物語です。


新人研修を終えて、大型店の一つである所沢店に配属されたツルちゃんは、まず1日の予算(売上目標)5万円から販売活動をスタートします。
最初に勇気を出して声をかけたお客様は、自分の母と同じ年代。「感じのいい販売員さんね」と会話がはずみ、「ご祝儀よ」とジャケットを2着購入してくれました。ツルちゃんは、相手に好印象を与えるだけでなく、幸運の持ち主でもあるようです。
大型店とはいっても店長・パートさん含めて7名の職場です。職場に慣れてくるに従って、ツルちゃんは仕事の分担について疑問を持つようになりました。
それは、マネキンに商品を着せるディスプレイ仕事や商品をバックヤードから表に持ってくる品出し作業を社員だけが行っている、ということです。それぞれ“予算”を背負っていますから、パートさんには接客以外のことを担当しないような分担にしているようです。
ツルちゃんの「店全体が良くなる仕事なのだから、パートさんも含めて当番制にしてはどうか」という提案がさっそく実行されると、不思議なことが起きました。お店がみるみるきれいになって、店全体の売上が上がったのです。全員がディスプレイを担当することによって、商品の陳列に気を配るようになり、自分がディスプレイした組み合わせ(コーディネイト)を自信をもってセット販売できるようになったのです。


「春の章」で全くの新人だったツルちゃんは、「夏の章」「秋の章」とグングン成長し、「冬の章」になると月間“予算”700万円(毎日30万円以上の売上)を達成するようになりました。
ぼやぼやしていると、ツルちゃんが全部売上ちゃう! と危機感を感じた先輩たちは、とうとう、お客さんを見かけると飛びつくように突進するようになりました。これではお客さんの印象が良くありませんから、ツルちゃんは、対策を考えます。熟考の結果、他の販売員全員が接客していることを確認してから初めて自分も接客する、というシバリをかけました。接客数が少なくなる分、目の前のお客様をこれまで以上に大切にするようになったツルちゃんは、それでも予算を達成してしまいます。もう店全体を支える頼もしいリーダになりました。
指導を素直に実践するツルちゃんには、店長も適格なアドバイスを惜しみません。2人のコンビネーションも良く、かけ合いで商品を薦めると30万円以上するコートでも面白いように売れていきます。


最後の「梅春の章」で、ツルちゃんはお店を卒業して、本社の経営企画部門に異動することになりました。たくさんの常連さんが別れを惜しみ、店長は「社内表彰されたのはツルちゃんのおかげ」と称えてくれました。


ツルちゃんが生き生きと成長する様が気持ち良い、読み終わってスッキリする物語(実話)でした。