初対面の教科書


副題:おちまさとプロデュース
2005年5月刊  著者:「おちまさとプロデュース 初対面の教科書」をつくる会【編】
出版社:日本放送出版協会   \1,470(税込)  187P


初対面の教科書―おちまさとプロデュース


著者のおちまさと氏はテレビ番組のプロデューサーを中心に、さまざまな分野のデザイン、企画関連プロデュース、講演活動など多方面に活動しているそうです。(TBSの「学校へ行こう!」が有名らしいのですが、私はV6よりもTOKIO派なので見たことがありません)
本書は「企画の教科書」「企画の教科書2 企画火山!」に続く、おちまさとプロデュース本の第3弾なのだそうですが、私は第1弾も第2弾も知らず、要するに何も予備知識なしに本書を手にしました。


本書は、「はじめまして」が苦手な人に初対面力を鍛える方法を教える本、ということですが、これは、どうも単純なノウハウ本ではなさそうです。「初対面」というテーマと「教科書」という形態の、あまり相性が良くなさそうな組み合わせを仕掛け、むりやり成立させて遊んでしまおう、という魂胆がミエミエで、そういう目で眺めると、けっこう笑えます。
まず、本を開いたとき、両側に3cm程度の空白があり、ところどころ本文に出てくる言葉の注記(それも、ちょっと人を食ったような内容)が書かれています。また、なぜか、本文の横に小さく「−」(ハイフン)が書いてあり、5行おきに「05」「10」「15」と数字が書いてあります。「教科書」ですから「何行目」というのは重要なんでしょうね。きっと。
きわめつきは、一見ふつうのイラストなのに、じーっと見ているとクスクスっとしてしまう挿絵です。著者は電気製品の取扱い説明書でこの不思議なイラストの作者「白根ゆたんぽさん」を発見し、本書の挿絵をお願いしたそうです。“教科書”の雰囲気を踏まえた上で、著者の意図通りの奥深いユーモアも醸し出しています。


もちろん、「初対面のノウハウを学ぶ」という正しい意図を持った読者を裏切るようなことはありません。初対面にアガルのは当たり前だから安心せよ、きちんと準備をせよ、聞き上手になれ等、丁寧に指導してくれます。
私が納得したのは、「相手をリスペクトする」というのが、初対面に限らず、すべての人間関係の基本ではないか、ということ。リスペクトというのは、尊敬の念だけでなく、自分から相手に向かう「意識の流れ」すべてのことを指します。
もう一つ。メールでの初対面では、「用件はひとつだけに絞り、極力短くしたほうが好感を持たれる」「その際のコツとして、文末を疑問形で終える、ということを覚えておきましょう」と言っています。
「どうでしょう?」と結ぶだけで、相手とのコミュニケーションを求めている気持ちは伝わるし、レスポンスをお待ちしていますという姿勢も分かってもらえる、とのこと。さっそく使ってみよう!


おふざけの中にも、ちょっとだけ為になる内容が書いてある。なんだか、ふた昔前に流行ったホイチョイプロダクションの本のような(ちと古いか?)、不思議な味わいがある本でした。