経営者、15歳に仕事を教える


2004年12月刊  著者:北城 恪太郎  出版社:丸善  \1,575(税込)  202P


経営者、15歳に仕事を教える


日本IBMの会長である著者は、経済同友会代表幹事に就任して活動するうちに、日本の将来を担う子どもたちにもっとしっかりしてもらいたい、と感じるようになりました。そのために「子どもたちに直接語りかけよう」と、経営者として多忙な中、この3年で中学校を約30校訪問して講演しました。本書は、その講演内容をまとめた本です。


エリートじゃないから上の目は気にしない、遅い出世で仕事に対する心構えを学んだ、という著者ですが、中学・高校・大学と慶応ボーイですし、入社してすぐ先輩を飛び越えて社内の派遣留学生に選ばれていますから、それほど苦労はしていません。なにしろ、読み始めて20分で社長になっちゃいましたから(笑)。
成功者である著者が、一生懸命に仕事をし、結果を出し、経営者まで上り詰めた成功談を素直に語っている姿勢に好感が持てました。同じ著名人でも、謙遜しているふりをしながら、その実、自分の自慢話をタラタラと書いている人もいることを考えると、貴重な本だと感じます。


自らの経験を語った後は、経営とは何をすることなのか、これからの会社はどうあるべきか、これからの教育はどうあるべきか、これからの君たちはどう生きるべきか、と次々と難しいテーマで語りかけます。
自分が中学生の頃にこういう人と出会っていたら、もう少し社会を見る目が養われていただろうな、と思うと、少し悔しい気もします。


自らの仕事の体験を通して、働くことの喜び・厳しさ・経営者とは、など、著者の体験と理念が凝縮されています。活字も大きく、やさしい言葉を使っていますが、中学3年生に聞かせておくにはもったいない内容です。大人も、ぜひ読みましょう。