さおだけ屋はなぜ潰れないのか?


副題:身近な疑問からはじめる会計学
2005年2月刊  著者:山田 真哉  出版社:光文社新書  価格:\735(税込)   216P


さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)


さおだけは10年に1回買うかどうかの商品なのに、なぜさおだけ屋は潰れないのだろう。近所の高級フランス料理店は、こんな住宅街で流行っている様子もないのに、どうして続いているのだろう。などの素朴な疑問を抱いたことはありませんか。著者はこれらの謎に会計の考え方で答えを出します。
本書は、身近な例から会計の考え方を学ぶ、という著者ならではの発想で書かれた本です。
こんな質問を投げかけられると、答えを知りたくなりますよね。でも、私の読書ノートはネタをばらさない方針なので(ゴメンナサイ)、続きは本書をお読みください。


同じ著者の『女子大生会計士の事件簿』(12月16日のブログ参照)を読んだ時、身近な例から会計を学ぶ、というおもしろさは経験していました。そんな私が本書を読んで新鮮に感じたのは、会計を生活に応用する、という考えです。
特に3千万円のローン残高があるのに、不動産価格が下がって市場価格が2千5百万円になってしまった人の例。企業の貸借対照表に例えると「債務超過」なのだから、保険を解約するなど出費を切り詰めて、早く繰り上げ返済すべき、というアドバイスをよく聞きます。
しかし、企業の会計と個人の会計は違います。元気で働いてローンが払えるなら、一時的な債務超過は気にする必要ありません。何でも企業のように3〜5年の短期スパンで考えるのは誤り、という著者のことばを読んで、同じ悩みを持つ私もホッとしました。


他にも、会計のセンスは「割り算」である、等の新発見がたくさんあります。楽しみながら為になる本でした。