図解 今さら読むのはバカバカしい?ベストセラー50冊


2005年3月刊  著者:目からウロコの編集部 新名著研究班【編】
出版社:第三文明社  価格:\1,050(税込)   95P


図解 今さら読むのはバカバカしい?ベストセラー50冊 (目からウロコのさんぶん図解)


私の読書ノートは、本の内容の一部を紹介して「あっ、おもしろそう。読んでみようかな」と思っていただけることを目指して書いています。著者に断りもせずに内容を紹介するのですから、読者を減らしてしまうようなネタばらしはしない、と最初に決めました。
でも、この本は違います。帯に「この1冊で、読み逃したあの名著を“読んだかぶり”!」とあります。どうせ今さらもう読まないでしょ、ということを前提に、本の内容をあらすじと図解で詳しくまとめています。
出版社から文句を言われそうにも思いますが、もうたっぷり儲かったベストセラーなんだから、このくらいは大目に見てネ、というところでしょうか。
「本を買わずに図書館で借りる派」の私も、大きな“読んだかぶり”という文字に引かれて思わずレジへ直行してしまいました。この言葉、ふだん本を読まない人よりも、読みたい本が多すぎて全部を読みきれない人の心をキャッチするかもしれませんね。


読んでみると、なかなか楽しめる内容でした。
本書では、一冊の本を見開き2ページで紹介しています。右側はあらすじとワンポイントレビュー。左側はイラストを交えた分りやすい図解。松山真之介さんは本の内容を図解する「マインドマップ」を提唱していますが、この左ページはその見本集のようなもの。本の内容によって違う種類の図解を使い分けて説明しています。
もちろん、あの分厚い『永遠の仔』上下2巻も、『ハリー・ポッター』シリーズも、あの薄い新書『バカの壁』も、全部2ページで紹介してます。密度の濃い・薄いがあるのは仕方ありませんが、そこはお約束というもの。
読んだことのない本は「へ〜、こういう内容なんだー」と、読んだことのある本は「へ〜、こういう風にまとめると分りやすいんだー」と、とにかく感心することばかり。どのページも「80へー」を超える傑作ぞろいです。


さて、この本をお薦めしたものかどうか。
たぶん、あなたが本を選ぶときの心構えによるのでしょう。
私は内容が分ってしまうと読む気をなくします。ドラマでも小説でも、結論を教えようとする人がいると、「やめてくれー」と遮るタイプです。
逆に、私のカミさんは知らない本を手にするのが嫌いで、よく「ねーねー、その本、最後どうなるの」と聞きます。そのほうが安心して読めるらしいのですが、私には理解できませんねぇ。
ということで、私のカミさんタイプの人にお薦めの一冊です。
私のようなタイプの人も、今さら10年前のベストセラーは読まないなぁ、と思っているのならお買い得です。何しろ、この一冊を読めば10万8千円も本代が浮いちゃうんですから。