ダブリンの風


副題:―日常の風景から見るプロジェクトマネジメントの機微 高根宏士エッセイ集
2004年5月刊  著者:高根 宏士  出版社:ソフトリサーチセンター  価格:\1,995(税込)   187P


ダブリンの風―日常の風景から見るプロジェクトマネジメントの機微 高根宏士エッセイ集


著者は「ソフトウェア工程管理技法」「ソフトウェア外注管理技法」等の技術的内容の本を出版していますが、本書は副題が示すとおり、技術書ではなくエッセイ集です。


「自己紹介を兼ねて」という序章に、著者が入社後に大きく変身した体験を紹介しています。ネタばらしになるので詳しくは書きませんが、「人は仕事によって変わることができるんだ」と希望が持てるエピソードでした。
続く第1章「SEいろいろ」から第6章「SEの心構え」まで著者が勤務していた会社で話した朝礼の内容や、社内誌、コラム・ソリューションズIT、JPMFオンライン等の雑誌に掲載したコラムで構成されます。


書名は第4章に収録された「ダブリン」というコラムに由来しています。この短いコラムは、著者が学会に参加するためアイルランドを訪問した時のエピソードを紹介したものです。
ダブリンでバスの通路に立っていたところ、数人が席を詰めてにこやかに座らせてくれた。ダブリンの人々の心には爽やかな風がふいているに違いない。かたや日本に帰ってきてから見かけた「席をゆずらない人々」の心の中にある風景は殺伐としたものだろう、という内容です。


この他にも、日々の生活の中で出会うできごとを著者ならではの視点でとらえたコラムや、SE・プロジェクトマネジャーの心構えなどが収録されています。私は2年前までSEをやっていましたので、その頃の知人に紹介されて本書を手にとりました。読んでみると、情報処理技術者だけでなく、一般の人にも訴える内容でした。お薦めです。