いいことがいっぱい起こる歩き方


2004年11月刊  著者:デューク更家  出版社:幻冬舎  価格:\1,260(税込)  174P


いいことがいっぱい起こる歩き方


去年8月にギックリ腰になりました。ふつうは1週間くらいで痛みがなくなるそうですが、私の場合はそのまま慢性の腰痛症になってしまい、つらい日々を送ってきました。ふり返ってみると、テレビの健康番組で「一段飛びで階段を登ると基礎代謝が上がる」というアドバイスを見たのが原因だったようで、実践しはじめて一週間目でギックリ腰になったのです。
身にしみて感じたのは、自己流のトレーニングは危険だ、というです。
最近、やっと腰の痛みがなくなってきたので、健康的な歩き方を学びたいと思い、本書を手に取りました。

著者の肩書き「ウォーキング・ドクター」は、世界に一人しかいません。「デューク更家」という変わった名前を知らなくても、上げた両手を左右に振りながら歩くスポーツメガネをかけた不思議なおじさん、といえば思いあたる人も多いはず。
デュークさんは以前ファッションモデルのトレーナーをやっていましたが、10年前に一般の人にウォーキングを教える教室を開きました。全国4カ所の教室の生徒数はのべ4万人とか。デューク流ウォーキングには、もっと美しくなるコツも、健康になるヒントも、一度きりの人生を楽しむ秘訣もあります。著者の教室に通う生徒は女性が多く、本書も「もっと多くの女性たちに」向けて書かれていますが、もちろん男性が読んでも元気の出る本です。

本書は冒頭から、「中心のある歩き方」をするためには「仙骨を立てる」ことが重要、それには……、と具体的な体の動かしかたをイラスト付きで説明してくれます。「エネルギーはかかとで吸い上げる」「回転運動で脚痩せ効果抜群」など、はじめて聞くアドバイス満載で、こんなにノウハウを披露して大丈夫なのだろうかと心配するくらいです。
また、歩き方を観察して人の性格を大きく3つに分類し、タイプ別に悩みの解消方法を助言したり、それぞれの相性を示しています。歩き方で人格を裁断するのは少し強引な気もしますが、血液型で人間を4つに分類するよりよっぼど説得力がありそうです。

著者が一般の人に歩き方を教えはじめたのは、母親の死がきっかけでした。肝臓の病気で入院していた母親が「健康のために歩きなさい」とドクターに言われ、一生懸命歩いたおかげで、ひざを痛めてしまいました。階段から落ちたのをきっかけに車椅子生活になり、急に元気をなくして半年後に亡くなります。正しい歩き方を知っていたらこんなことにはならなかったのに何もしてやれなかった、というつらい思いが著者に残りました。
それまでトレーナーとしてプロのモデルに歩き方を教えていた著者でしたが、ふつうの人に「身体に負担をかけない歩き方」「美しい歩き方」を教えたい、と思うようになったのです。
著者は言います。「三歩歩いたら健康だな、五歩歩いたら幸せだな」と。
この言葉には、身体に負担をかけない歩き方をしてほしい、という著者の願い、母親に言ってあげられなかった悔恨が凝縮しています。
本書に込められた著者の熱い思いが、きっと、本書を手にした人にも伝わります。そして、著者の言う通り、幸福を呼び寄せる力が湧いてくることでしょう。