副題:エクスペリエンス・マーケティングの極意
2004年3月刊 著者:藤村 正宏 出版社:岩全日出版 価格:\1,365(税込) 254P
ビジネスにおいては戦わないことが最高の戦略であり、そのためには、「差別化」ではなく「独自化」するしかありません。「独自化」するにはモノを売るのでなく“体験”を売るのです、という視点で考える「エクスペリエンス・マーケティング」を提唱する本です。
五感を使って、とタイトルにある通り、本書では眼・耳・鼻・舌・身の五感にうったえる方法を具体的にアドバイスし、それらを徹底することによってお客様の第六感(シックスセンス)にも到達することを示しています。嬉しい、楽しい、美味しい、気持ちいいという感覚や共感を得ることが大切、というのです。
他にも、「非日常」ではなくこれからは「新・日常」、ターゲットはなるべくせまく、というノウハウを述べているマーケティングの本。……と読み終わろうとした時、巻末の数ページで、この種の本に期待していなかった内容に出会いました。
そこでは「大好きな人の笑顔を見たい」「自分の仕事が好きか? お客様が好きか?」というタイトルで、あなたは何のために仕事をするのか、と著者が問いかけていました。
「グローバル・スタンダードになって、しあわせになりました?」
「そろそろ、勝ち負けというものさしで世の中を見るのをやめましょう」
「売上と利益だけでビジネスを見るのはやめましょう」
「報酬だけで仕事を選ぶのはやめましょう」
「その仕事が好きか? その仕事をしているのはしあわせか?」
「あなたが自分の仕事を『しあわせ』という観点から考えるところからスタートです」
この種の本は勝ち組だの負け組みだのと殺伐した心情を背景にしている、と思っていましたので、最後に著者からこんな問いかけがあったのは驚きです。
ビジネスを成功させるためにも「しあわせ」を念頭に置け、というのは意外なめっけもんでした。
また、内容と密接に関係していると思うのですが、著者の文体は独特です。
講演をそのまま口述筆記したような語りかけるような文章。
ほとんどが1行に収まる短い文です。
しかも1文が終わると、必ず改行。
まるで、少し文字の多い詩集を開いているようです。
こんな不思議な語り口の本に出会ったのは初めてです。
しかも、ところどころに、
「伝わってます?」
という1行が入っています。
そう言われると、「大事なことを読みとばしていたかも」と、ハッとさせる効果があるようです。
また、著者が力を入れて強調する箇所には、
「すごいと思いません?」
という1行が入っています。
共感を得る効果があるのでしょうか。
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以上、私もマネして書いてみました。
インターネット時代の書法なのかもしれませんね。
すごいと思いません?