ダ・ヴィンチ・コード

2004年5月刊  著者:ダン・ブラウン  訳:越前 敏弥
出版社:角川書店  価格:上巻・下巻とも\1,890(税込)

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉
ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

いや〜、売れに売れている本らしい。私が手にした第5版の帯には、世界全体で750万部突破、『ハリー・ポッター』以来のセンセーション、とある。


実際に読んでみると……、いや〜面白い!


殺人事件からスタートする謎解きミステリーなのだが、主人公が警察と殺人者から追われる様子にハラハラドキドキ。次から次へと謎が繰り出され、一つ謎が解けると、また別の謎が現れる。
おまけに、その謎解きの一つひとつが西洋史に関する「へ〜」の連続。ひとつ間違えば「トンデモ本」の世界に迷い込みそうな内容なのだが、「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」という裏付けがあるそうなので、2000年の歴史を覆すような内容が「ひょっとしたら事実かもしれない」と感じられる。
キリスト教の根幹を揺るがし、ヨーロッパの歴史を塗り替えた巨大な謎とは!
……ミステリーの謎解きを公開するのはご法度なので、あとは読んでいただくしかない。


上・下巻あわせて600ページ以上もあるのに、それこそアッという間に読み終わってしまう。4000円近く投じてもすぐ読み終わってしまうので、ある意味「コストパフォーマンスの悪い」本である。(これは、もちろん褒め言葉です)
内容にグイグイ引きこまれ、読んだあとで「あ〜、おもしろかった」とやっと息をつけるような本には、なかなか出会うことができないもの。とても貴重な本である。


内容はこれ以上紹介できないので、ひとつだけ関連本として佐藤賢一の『カルチェ・ラタン』を挙げておく。

カルチェ・ラタン

中世パリの大学を舞台にしたこの小説には、“学寮”ごとに神学を深めていく様子が描かれており、その中から様々な結社が作られていく。はるばる日本まで伝道の旅をしたザビエル達がイエズス会を結成する場面もあるが、なかには“異端”に通じるようないかがわしい秘密結社も登場する。
本書『ダ・ヴィンチ・コード』にも秘密結社が登場するが、その創成期の雰囲気が読み取れ、もちろん内容も期待できるオススメ本である。