信長の原理

著者:垣根 涼介  出版社:KADOKAWA  2018年8月刊  \1,944(税込)  588P


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「働きアリの法則」をご存知だろうか。


働きアリはみんながんばって食料を集めているように見えるが、よく観察してみると、よく働くアリが2割、ふつうに働くアリが6割、働いているフリをしていて本当はサボっているアリが2割いる、という法則である。


北海道大学准教授の長谷川英祐氏が、自身の進化生物学研究内容を一般向けに解説した、『働かないアリに意義がある』(2010年 メディアファクトリー刊)を出版したことで知られるようになった。


この法則には続きがあり、よく働いている2割のアリを間引いてみると、残ったアリの2割がよく働くアリに変わることが観察されている。その結果、全体の比率が、よく働くアリ2割、ふつうに働くアリ6割、サボるアリが2割と、もと通りの比率になってしまうというのだ。


おもしろい!


どうしてアリがこのような比率になってしまうのか不思議だ。
長谷川准教授は進化生物学の観点から研究して謎を解きあかしていくのだが、学者とは違う視点でこの法則に注目した作家がいた。


それが、今日取りあげる『信長の原理』の著者、垣根氏である。


人間界にあてはめると、ものすごく面白いことになる! と考えたのである。

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死ぬこと以外かすり傷

著者:箕輪 厚介  出版社:マガジンハウス  2018年8月刊  1,512円(税込)  173P


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僕の実家は北海道の酪農家だったが、跡を継がなかった。


大学を出て会社員になった僕は、毎日きちんと会社に通い、配属された職場でコツコツと仕事をしてきた。
農家は選ばなかったけれど、生き方は農耕民族そのものだ。


かたや、本書の著者、箕輪(みのわ)氏の生き方は、狩猟民族のようだ。

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銀河鉄道の父


著者:門井 慶喜  出版社:講談社  2017年9月刊  \1,728(税込)  408P


銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞    ご購入は、こちらから


宮沢賢治の生涯を父親の視点で描いた小説である。


ことしはじめに第158回直木賞の受賞が決まって話題になっていたが、書店で手にしたものの「話題になった本は読まないゾ」というアマノジャクなので(笑)、買わなかった。


もうほとぼりも冷めたころなので、読んでみた。

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君が生きる意味


副題:人生を劇的に変えるフランクルの教え
著者:松山 淳  出版社:ダイヤモンド社  2018年7月刊  \1,512(税込)  277P


君が生きる意味 人生を劇的に変えるフランクルの教え    ご購入は、こちらから


ブラックな職場で苦しむ青年の目の前に、ある日小さな変なおじさんが現れ、人生に向かう姿勢をガラッと変えさせてくれる、という物語である。


……と、要約すると、ものすごく安直にひびく。


薄っぺらな自己啓発本の代表みたいに聞こえる。


ご安心あれ。
僕のブログで安直な本は取りあげないようにしているし、この本は「薄っぺらな自己啓発本」と正反対の本である。

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この書評オススメ!


選本の参考にするため愛読しているネット書評の一つに、ノンフィクション系の「HONZ」という書評サイトがあります。


二十数名が入れ替わりで書いている書評は、それぞれ個性があって面白く読ませてもらっています。


取り上げている本が興味深い時もうれしいのですが、自分も書評を書いている目線で読んでいるので、紹介文が良く書けていると、「あー、いい書評を読ませてもらった」と嬉しくなります。


先日、思わず「おみごと!」と心の中で叫んでしまった書評に出会ったので、今日は本の紹介ではなく、書評の紹介を書くことにしました。

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お義父さん


著者:はなわ  出版社:KADOKAWA  2017年12月刊  \1,350(税込)  222P


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毎週月曜よる7時から日本テレビ系列で放送している「有吉ゼミ」というバラエティー番組がある。


番組名に「有吉」と付いているとおり有吉弘行が司会進行する番組だ。
有吉弘行は毒舌で知られているが、ゴールデンタイムなので全く毒を吐かない。


芸能人のロケを中心に放送している番組のなかで、お笑いタレントの「はなわ」家族の日常を取材したコーナーが面白く、我が家でも「はなわ」一家が出る回を楽しみにしている。


ご存知ない方のために「はなわ」氏を簡単に紹介する。


はなわ」は1976年生まれで、現在41歳のお笑いタレント。
頭のてっぺんの髪の毛を金髪に染めて固め、オニの角のように突きだした独特のヘアースタイルで、エレキベースを弾きながらコミックソングを歌っている。


出身地の佐賀県をおちょくった「佐賀県」という曲が2003年に大ヒットし、紅白歌合戦にも出場した。


「ヤホーで調べました」を持ちネタにしているお笑いコンビ「ナイツ」ボケ役の塙宣之はなわのぷゆき)は、実の弟である。

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おもかげ


著者:浅田 次郎  出版社:毎日新聞出版  2017年12月刊  \1,620(税込)  377P


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小説家浅田次郎氏の最新刊である。


本の内容に入る前に、今日は余談からスタートさせていただく。

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